プラチナムクリニックは非手術治療専門クリニックです。しかし「手術をさせないために何でも非手術で対応する」クリニックではありません。非手術治療の限界を正直に認め、手術が必要なときに「手術をしてください」と言えること——これが本当の誠実さだと考えています。
1. 腱板全層断裂
| 条件 | 説明 |
|---|---|
| 広範囲断裂 | 断裂サイズ5cm以上、2本以上の腱の断裂 |
| 急性外傷性断裂 | 事故や転倒で突然発生した断裂 |
| 若い患者様+高活動 | 50歳未満、アスリート、肉体労働者 |
| 筋肉の萎縮・脂肪変性の進行 | MRIで筋肉が脂肪に変わり始めている |
| 保存治療の失敗 | 3〜6ヶ月の非手術治療でも改善なし |
手術方法:関節鏡的腱板縫合術
- ✓全身麻酔または部位麻酔
- ✓手術時間:1〜2時間
- ✓入院期間:1〜3日
- ✓装具(スリング)着用:4〜6週必須
- ✓再断裂率:研究によって13〜94%と報告(高齢・大きな断裂では高い)
2. バンカート病変(Bankart Lesion)
肩が脱臼したときに関節唇の前方が断裂した状態。これが損傷すると肩が繰り返し抜けるようになります。
| 条件 | 説明 |
|---|---|
| 反復性脱臼 | 2回以上肩が抜けた場合 |
| 若い患者様(30歳未満) | 初回脱臼後の再脱臼率が70〜90%と非常に高い |
| アスリート・高活動 | コンタクトスポーツ・オーバーヘッド運動を継続希望 |
| 不安定感の持続 | 脱臼まではいかなくても「抜けそうな感じ」が続く |
手術方法:関節鏡的バンカート縫合術
- ✓縫合アンカーを骨に打ち込み、断裂した関節唇を元の位置に固定
- ✓手術時間:1〜1.5時間、入院:1〜2日
- ✓スポーツ復帰:非コンタクト4〜6ヶ月、コンタクト6〜9ヶ月
- ✓術後再脱臼率:5〜15%
3. SLAP病変
上方関節唇の前後方向の断裂です。この部位には上腕二頭筋長頭腱が付着しており、二頭筋の問題と合併することが多いです。
| 分類 | 特徴 |
|---|---|
| Type I | 退行性変化・摩耗(手術不要) |
| Type II | 二頭筋付着部が不安定に剥離(最多、手術を考慮) |
| Type III | バケツ把手型断裂(手術が必要) |
| Type IV | Type III+二頭筋腱への断裂延長(手術が必要) |
4. ラタルジェ手術(Latarjet Procedure)
肩が繰り返し脱臼すると関節窩(肩のソケット)前面の骨が削れる(骨欠損)。骨欠損が大きければ通常のバンカート縫合術では不安定性を解決できません。烏口突起(coracoid process)を切り取って関節窩前面に移植する手術です。
| 条件 | 説明 |
|---|---|
| 骨欠損>20% | 関節窩前面の骨が20%以上消失 |
| バンカート縫合術の失敗 | 縫合術後も再脱臼が発生 |
| 多発性脱臼(5回以上) | 骨損失が大きい可能性が高い |
| コンタクトスポーツ選手 | ラグビー・アメフトなど高リスクスポーツ |
手術が必要なケース一覧
| 疾患名 | 主な適応 | 手術方法 | リハビリ期間 |
|---|---|---|---|
| 腱板全層断裂 | 広範囲・急性外傷・若い高活動 | 関節鏡的縫合術 | 6ヶ月〜1年 |
| バンカート病変 | 反復脱臼・若い患者・運動選手 | 関節鏡的縫合術 | 4〜6ヶ月 |
| SLAP病変 | Type II以上・保存治療失敗・投手 | SLAP縫合または二頭筋固定術 | 6〜12ヶ月(投手) |
| ラタルジェ | 骨欠損>20%・縫合術失敗 | 烏口突起移植術 | 6〜9ヶ月 |
よくある質問
Q1. 全層断裂があれば必ず手術ですか?
いいえ。全層断裂でも断裂サイズが小さく(3cm未満)、痛みが主症状で日常生活への支障が少ない場合は、非手術治療で十分に管理できます。
Q2. 肩が一度脱臼したら、すぐに手術が必要ですか?
初回脱臼後に即座に手術が必要なわけではありません。ただし、20代以下の若い患者様では再脱臼率が70〜90%と非常に高く、活動水準を考慮して早期手術を推奨する場合もあります。
Q3. SLAP病変はMRIで確実に診断できますか?
感度は60〜80%程度で、正常と判断されてもSLAP病変が存在することがあります。MR関節造影(MRA)がより正確で、確定診断は関節鏡によって行われます。
Q4. 術後も非手術治療は必要ですか?
はい。手術は構造を修復するものであり、機能を回復させるのはリハビリです。術後の理学療法・運動療法は必須です。
非手術治療の限界を認識すること。手術が必要なとき、正直に言えること。それが患者様への真の誠実さです。
手術が必要か、非手術で可能かを正直に評価します
ご予約はこちら李東奎 院長
延世大学校医学部卒 · 整形外科専門医 · IBSE認定 · 特許4件
かつて手術専門医として活躍し、非手術治療の可能性を追求するために転向。肩手術の限界を自身の経験から痛感し、プラチナムクリニックを設立。著書『肩の痛み 手術より運動』著者。