調子が良い日が再発をつくる — 段階的復帰の重要性

改善したからといって急に活動量を増やすと再発する。正しい段階的復帰プロトコルとは。

李東奎 院長·読了時間 10分

30代の男性がウエイトトレーニング中に右肩を痛め、3ヶ月の治療で症状が改善。「もう大丈夫だ」とジムに戻り、ベンチプレスを再開したところ——1週間後に症状が再発しました。

3ヶ月治療して、もう全然痛くなかったんです。だから少しずつ戻ろうと思ってベンチプレスを始めたら、1週間でまた同じように痛くなりました。なぜですか?

超音波で確認すると:治療後に縮小していた断裂(15%)が再び拡大(40%)していました。

腱板組織が「成熟」するまでの段階

  • 炎症期(0〜4週):損傷直後。炎症・腫れ・痛みが強い
  • 増殖期(4〜12週):新しいコラーゲン線維が作られる。まだ弱い
  • リモデリング期(3〜12ヶ月):コラーゲンが整列・成熟し、強度が回復する

「痛みが消えた」のは増殖期の初期——コラーゲンはまだ「未熟」です。この段階で強い負荷をかけると、未熟なコラーゲンが断裂します。これが再発の正体です。

段階的復帰プロトコル(腱板断裂)

段階時期許可される活動避けるべき活動
第1段階0〜4週日常生活・痛みのない範囲の肩運動腕立て・重い荷物・肩より上への挙上
第2段階4〜8週軽い有酸素・肩甲骨安定化運動ウエイト・投球動作・押す引く動作
第3段階8〜12週軽い抵抗運動(1〜2kg)・水泳(ゆっくり)ベンチプレス・懸垂・テニス
第4段階3〜6ヶ月段階的な負荷増加・スポーツ特異的動作最大負荷・フルパワーの競技
完全復帰6ヶ月以降全活動——(超音波で回復確認後)

「調子がいい日」が最も危険

痛みがない→「もう大丈夫」と判断→段階を飛び越えて元の活動量に戻る→組織はまだ準備できていない→過負荷→再断裂——これが「調子がいい日」の落とし穴です。治療中に「今日は楽だ」と感じた日こそ、慎重に行動する日です。

この患者様の再治療と段階的復帰

再発後の治療:縫縮術+再生注射(再施術)。今回は段階的復帰プロトコルを厳守しました。

  • 4週・8週・3ヶ月・5ヶ月と定期的に超音波で評価しながら段階を進めた
  • 5ヶ月後:ベンチプレス再開(30kgから)
  • 7ヶ月後:フル復帰

今回は先生に言われた通り、絶対に段階を守りました。焦る気持ちはありましたが、7ヶ月後にジムに戻れて、本当に良かったです。

よくある質問

Q1. 段階的復帰の判断は、症状だけでしていいですか?

いいえ。症状(痛み)の消失だけでは不十分です。定期的な超音波検査で断裂の縮小・組織の修復を確認しながら、段階を進めてください。

Q2. スポーツをしていない人も段階的復帰が必要ですか?

日常生活への復帰でも同様の原則が適用されます。「重い荷物を持つ」「腕を頭上に上げる」なども、段階的に行うことが重要です。

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李東奎 院長

李東奎 院長

延世大学校医学部卒 · 整形外科専門医 · IBSE認定 · 特許4件

かつて手術専門医として活躍し、非手術治療の可能性を追求するために転向。肩手術の限界を自身の経験から痛感し、プラチナムクリニックを設立。著書『肩の痛み 手術より運動』著者。

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