「非手術治療は結局、手術になる」は本当か

「非手術をやっても最後は手術」という誤解。正しい非手術治療が手術を回避できる根拠。

李東奎 院長·読了時間 11分

30代の小学校教師(女性)が右肩の痛みで受診しました。黒板に書くとき・物を棚に置くとき・子供を抱き上げるときに激しい痛みが走ります。

他の病院では『手術が必要』と言われました。でも手術が怖くて。非手術治療を試したいのですが、どうせ最後は手術になると聞きました。本当ですか?

超音波で評価すると:腱板(棘上筋)の関節面側部分断裂(約60%)が確認されました。全層断裂ではなく、まだ外側の腱板は保たれていました。

世代別治療の変化

肩の非手術治療は過去20年間で劇的に進化しました。

世代時期主な治療限界
第1世代〜2000年代安静・消炎鎮痛剤・物理療法根本治療にならない
第2世代2000〜2010年代ステロイド注射・ヒアルロン酸注射炎症抑制のみ、修復なし
第3世代2010〜2020年代PRP(多血小板血漿)・衝撃波効果にばらつきがある
第4世代2020年代〜再生注射(コラーゲン+成長因子+エクソソーム)・縫縮術・リジェネテン現時点での最高水準

「非手術は効かない」という印象の多くは、第1・第2世代の治療経験からくるものです。現在の第4世代治療では、適切な適応であれば手術に匹敵する結果が得られるケースが増えています。

非手術治療が成功する条件

  • 断裂の程度:部分断裂または小〜中程度の全層断裂
  • 断裂の場所:関節面側の断裂(縫縮術の適応)
  • 組織の状態:筋肉の脂肪変性が高度でない
  • 患者様の年齢・活動量:高齢者や活動量が低い場合も適応あり
  • 治療の継続性:3〜6ヶ月の継続治療が可能

この患者様の治療と経過

縫縮術(腱板断裂60%を縫合)+第4世代再生注射+肩甲骨安定化リハビリを組み合わせました。

  • 4週後:黒板への書き込みが可能に
  • 8週後:物を棚に置く動作が問題なく
  • 3ヶ月後:子供の抱き上げも可能(痛みなし)
  • 6ヶ月後:超音波で断裂の縮小確認(60%→30%に改善)

手術しなくてもここまで良くなれるとは思っていませんでした。子供たちに元気に接することができるようになって、本当に良かったです。

「非手術が失敗する」パターン

  • 不適切な適応:手術が必要な状態に非手術を続ける
  • 第1・2世代の古い治療を「非手術治療」だと思っている
  • 治療期間が短すぎる(1〜2ヶ月で「効果なし」と判断)
  • 治療はするがリハビリをしない(組み合わせが不完全)
  • 複数の病変のうち一部しか治療していない

よくある質問

Q1. 非手術治療で断裂は「完全に治る」のですか?

断裂が完全に消えるわけではありませんが、「機能を回復し、痛みなく日常生活を送れる」状態にすることを目標とします。断裂があっても無症状で機能できている方は多くいます。

Q2. どれくらいの期間、非手術治療を試すべきですか?

腱板の修復には時間がかかります。最低3ヶ月、理想的には6ヶ月間、適切な治療を継続して評価することをお勧めします。ただし、症状が悪化する場合は早めに方針を変更します。

Q3. 非手術治療中に、断裂が拡大することはありますか?

適切な治療と管理を行っていれば、断裂が拡大するリスクは最小化できます。定期的な超音波評価で断裂サイズを監視することが重要です。

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李東奎 院長

李東奎 院長

延世大学校医学部卒 · 整形外科専門医 · IBSE認定 · 特許4件

かつて手術専門医として活躍し、非手術治療の可能性を追求するために転向。肩手術の限界を自身の経験から痛感し、プラチナムクリニックを設立。著書『肩の痛み 手術より運動』著者。

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