「歳だから仕方ない」は本当か — 高齢者の肩治療の可能性

80代でも腱板断裂の治療は可能。年齢を言い訳にしない医療の在り方。

李東奎 院長·読了時間 11分

80代の女性農家が右肩の激しい痛みで受診しました。30年以上農業に従事し、現在もほぼ毎日農作業をされています。

先生、私の年齢でも治療してもらえますか?他の病院では『歳だから仕方ない』と言われて、強い痛み止めだけもらいました。

超音波とMRIで評価した結果:腱板全層断裂(2.8cm)と石灰沈着性腱炎の合併が確認されました。

「歳だから仕方ない」は正しいか

この言葉が医療の現場でどれだけ多く使われているか。しかし、研究はどう言っているでしょうか。

  • 75歳以上での腱板修復術:治癒率87%(Bhatia 2017)
  • 高齢者の非手術治療:年齢よりも組織の状態と治療の選択が結果を左右する
  • 韓国人の平均寿命:83.7歳——80代でもあと5〜10年の人生がある

「歳だから仕方ない」ではなく、「歳をとっても、その方の生活の質を高めるために何ができるか」を考えることが真の医療です。

高齢者への治療で考慮すべきこと

  • 全身麻酔のリスクを避けた局所(部位)麻酔の選択
  • 入院を最小限にした外来(当日帰宅)治療
  • 術後装具・リハビリの負担を軽減したプロトコル
  • 骨粗しょう症・高血圧・糖尿病などの合併症に配慮

この患者様への治療

全身麻酔は使用しませんでした。腕神経叢ブロック(上腕神経叢麻酔)を使用——意識のある状態で、肩・腕全体だけを麻酔します。

施術内容:石灰分砕吸入術(石灰の除去)+縫縮術(腱板断裂の修復)

施術時間:約40分。当日帰宅。

経過:

  • 1週後:「夜中に目が覚めなくなりました」
  • 2週後:「畑に出て、軽い作業ができました」
  • 4週後:「先週から草取りができるようになりました」
  • 3ヶ月後:「ほぼ全ての農作業ができています」

先生、ありがとうございます。『歳だから』と言われ続けて、もう諦めていました。こんなに動けるようになるとは思っていませんでした。

縫縮術について

縫縮術(Plication Suture)は、プラチナムクリニック独自の非手術的腱板修復法です。

  • 超音波ガイド下に特殊ドリルで骨にミクロトンネルを作製
  • 特許コラーゲン縫合糸を腱板断裂部に通し、骨に固定
  • 断裂した腱板を引き寄せて縫合——「縮める」から縫縮術
  • 体内吸収性のコラーゲン縫合糸は、腱板の再生を促進しながら吸収される

高齢者にこそ非手術治療が重要な理由

  • 手術による全身麻酔のリスクが相対的に高い
  • 術後の長期リハビリへの対応が難しい場合がある
  • 入院・装具着用の負担が家族・介護者に及ぶ
  • 手術後の再断裂率が高齢者ほど高い

リジェネテン(コラーゲンパッチ)の役割

この患者様のように高齢で組織の再生力が低い場合、縫縮術にリジェネテン(コラーゲンパッチ)を組み合わせることがあります。腱板の外側(滑液包面側)にコラーゲン足場を貼付し、腱板の再生を支援します。

よくある質問

Q1. 何歳まで非手術治療を受けられますか?

年齢の上限はありません。重要なのは年齢よりも、組織の状態・全身状態・治療へのモチベーションです。90代の患者様を治療した実績もあります。

Q2. 高齢者の場合、治療効果は若い人より低いですか?

一般的に、高齢になるほど組織の再生力は低下します。しかし、「痛みを取る」「日常生活を取り戻す」という目標において、高齢者でも十分な効果が得られることが多いです。

Q3. 農作業など重労働への復帰は可能ですか?

段階的なリハビリと適切な治療により、多くの場合で以前の活動への復帰が可能です。ただし、完全復帰までの時間は若い方より長くかかることが多いです。

年齢に関係なく、最善の治療を提供します

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李東奎 院長

李東奎 院長

延世大学校医学部卒 · 整形外科専門医 · IBSE認定 · 特許4件

かつて手術専門医として活躍し、非手術治療の可能性を追求するために転向。肩手術の限界を自身の経験から痛感し、プラチナムクリニックを設立。著書『肩の痛み 手術より運動』著者。

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