「腱板断裂です。手術が必要です。」
この一言が、どれだけ多くの患者様を絶望させてきたことか。しかし実際には、腱板断裂のすべてに手術が必要なわけではありません。
手術の現実
まず、手術とはどういうものかを正確に知っておく必要があります。多くの患者様は手術の負担を過小評価しています。
- ✓全身麻酔または広域神経ブロック麻酔
- ✓手術時間:1〜2時間
- ✓入院期間:1〜3日
- ✓術後4〜6週間の装具(スリング)着用が必須
- ✓装具着用期間中は入浴・着替えも介助が必要
- ✓リハビリ開始まで4〜6週間かかる
- ✓仕事・日常生活への復帰:3〜6ヶ月
- ✓スポーツ復帰:6ヶ月〜1年
さらに、手術で修復した腱板が「再断裂する」可能性があります。
| 年齢 | 再断裂率 | 研究報告 |
|---|---|---|
| 全体平均 | 13〜94% | 研究によって大きなばらつき |
| 65歳以上 | 25〜40% | 加齢による組織修復力の低下 |
| 70歳以上 | 34〜57% | 特に大きな断裂で高い |
| 骨粗しょう症合併 | さらに高い | 骨へのアンカー固定が弱い |
手術をしても10〜94%で再断裂が発生するという現実——これを患者様にきちんと説明する医師は少ないです。
腱板断裂に対する非手術的選択肢
- ✓1. 物理療法・運動療法:肩甲骨の安定化・腱板周囲筋の強化
- ✓2. 超音波ガイド下注射:炎症の抑制(ステロイド・ヒアルロン酸)
- ✓3. 第4世代再生注射:コラーゲン・成長因子・エクソソームによる腱板修復
- ✓4. 縫縮術(非手術):超音波ガイド下に腱板を縫合
- ✓5. リジェネテン(コラーゲンパッチ):コラーゲン足場による腱板再生
- ✓6. 骨髄幹細胞療法:骨髄から幹細胞を活性化して腱板修復を促進
- ✓7. 複合療法:上記の組み合わせ
手術vs非手術:どう選ぶか
| 状態 | 推奨される選択 |
|---|---|
| 部分断裂(50%未満) | 非手術治療から開始 |
| 部分断裂(50〜75%) | 非手術治療、改善なければ手術を検討 |
| 全層断裂(小〜中:3cm未満) | 非手術治療でも管理可能なことが多い |
| 全層断裂(大:3〜5cm) | 非手術と手術を総合的に検討 |
| 広範囲断裂(5cm以上) | 手術を考慮 |
| 急性外傷性断裂 | 早期の外科的修復を検討 |
| 若い患者(50歳未満)+ 高活動 | 手術を検討 |
| 筋肉の脂肪変性が進行 | 手術の適応を慎重に評価 |
断裂があるから手術——ではなく、どんな断裂が、どの患者様に、どんな影響を与えているかを総合的に判断するべきです。
「断裂がある=手術が必要」ではない理由
研究によると、腱板断裂のうち50%以上は「無症状」です——つまり、断裂があっても痛みがなく日常生活に支障がない方が多くいます。
- ✓一般人口の22.1%に腱板断裂がある(Yamamoto 2010)
- ✓60歳以上では50%以上に何らかの断裂が存在する
- ✓断裂の65%は症状がない(無症状断裂)
断裂の大きさよりも、「その断裂が患者様の生活にどう影響しているか」の方が重要です。
よくある質問
Q1. 医師に「手術しないと悪化する」と言われました。本当ですか?
部分的に正しいです。断裂が放置されると拡大するリスクはあります。しかし「必ず手術しなければ悪化する」わけではありません。適切な非手術治療で断裂の拡大を防ぎ、機能を維持できるケースも多くあります。
Q2. 手術を断ったら、医師に嫌な顔をされました。
残念ながら、そのような状況が実際にあります。患者様が自分の治療方針について十分な情報を得て選択する権利は、インフォームド・コンセントとして保護されています。セカンドオピニオンを受けることも積極的にお勧めします。
Q3. 非手術治療を受けても、最終的には手術が必要になりますか?
非手術治療が有効であれば、手術を回避できます。ただし、断裂が拡大し続ける場合や、非手術治療で十分な効果が得られない場合は、手術を検討する必要があります。「最終的には手術」と決まっているわけではありません。
まず非手術の可能性を評価してみてください
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延世大学校医学部卒 · 整形外科専門医 · IBSE認定 · 特許4件
かつて手術専門医として活躍し、非手術治療の可能性を追求するために転向。肩手術の限界を自身の経験から痛感し、プラチナムクリニックを設立。著書『肩の痛み 手術より運動』著者。