膝関節は動く機械のようなものです。 骨と骨の周囲を包む靭帯や腱が摩擦することで音が生じることがあります。 実際に問題となるのは、音とともに現れる痛みですが、 多くの人はこれを変形性関節症と考えがちです。 しかし、若い年齢であれば膝滑膜ヒダ症候群(膝蓋滑膜ヒダ障害)を疑うことができます。 膝滑膜ヒダ症候群は若い年齢層では比較的よく見られる疾患ですが、単純な捻挫と自己診断しやすく、 治療の時期を逃してしまうケースがあるため注意が必要です。 音を伴う膝の痛みは、膝滑膜ヒダ症候群を疑うことができます。
膝滑膜ヒダ症候群は、さまざまなスポーツ活動を楽しむ若い年齢層や、 膝を曲げ伸ばしする動作が多い主婦によく見られます。 膝滑膜ヒダ症候群はなじみの薄い疾患ですが、実際には若い年齢の膝患者の中で大きな割合を占めています。 滑膜ヒダは、膝関節を覆う関節包の一部が異常に肥厚した状態です。 そのため周囲組織に損傷をきたして痛みが生じ、膝を曲げ伸ばしする際に パキッという音とともに引っかかる感覚の症状が現れます。 通常、膝を完全に曲げた状態では症状がありませんが、伸ばす動作をすると痛みが強くなります。 また、活動量の多い日中は膝の中で滲出液が増加して水が溜まり、滑膜ヒダが押し出されて 痛みがなくなり、朝になると滲出液が減少して痛みを感じるケースが多くあります。 このため、滑膜ヒダ症候群による痛みを軽視してしまい、 治療の時期を逃すケースが多く見られます。 膝滑膜ヒダ症候群の患者の大部分は、薬物療法や理学療法による保存的治療が可能な 初期段階を過ぎ、痛みが悪化してから来院するケースが多くあります。 膝滑膜ヒダ症候群の症状が長期化すると、痛みはもちろん、弾力性を失った滑膜ヒダがさらに肥厚し、 軟骨への刺激による軟骨損傷へと進行する可能性があるため、注意が必要な疾患です。 膝滑膜ヒダ症候群の診断はどのように行われるのでしょうか? 膝滑膜ヒダ症候群は、整形外科専門医が徒手検査によって膝の動きを確認した上で 診断に必要な所見を得ることができ、MRI検査によって肥厚した滑膜ヒダ組織および周囲軟骨の損傷 程度を把握して確定診断することができます。
薬物療法と理学療法を行っても膝の痛みが続く場合は、整形外科専門医に相談することをお勧めします。 状態が重篤な場合は、必要に応じて0.5cmの最小切開後、関節鏡を用いて肥厚した 内側滑膜ヒダを切除するプリカ切除術を施行することができます。 なるべくしゃがむ姿勢を避け、膝滑膜ヒダ症候群が疑われる状況であれば、 膝に負担がかからないよう安静にすることが大切です。 何より、日頃から規則正しい生活とストレッチを通じて硬くなった筋肉や靭帯をほぐし、 関節の柔軟性を確保することが重要です。 ただし、この際に急激で強い動きは瞬間的な圧力を高めて関節への過負荷を引き起こす可能性があるため、 膝関節を中心に円を描くようにゆっくりと動かす動作が適しています。 体が硬い状態であれば、まず半身浴や足湯によって体温を上げる方法で 膝関節の柔軟性を確保してからストレッチを行うことをお勧めします。 このような非手術療法は継続して繰り返すことで、筋肉の弛緩と血液循環の改善に役立ちます。 日頃のセルフケアを通じて膝関節を守ってください。

