こんにちは。整形外科専門医の医師です。 肩の石灰沈着性腱炎はどのように診断・治療するのでしょうか? まず、肩の石灰沈着性腱炎の診断についてお話しします。 基本的にはX線撮影だけでも診断が可能です。石灰は硬い組織であるため、X線でも確認することができます。 石灰のサイズが小さかったり微細な場合には、X線では確認できないこともあります。 X線は二次元的な画像であるため、骨と重なって見えないこともあります。 X線で石灰が確認できれば、まず石灰沈着性腱炎と診断することができます。 以前にもお伝えしたように、石灰が生じる原因は血流制限です。そのため、石灰沈着性腱炎がある場合、その周囲の腱が健全でない可能性があります。 そのような他の問題点を見つけるために、超音波検査またはMRI検査を行うことがあります。 ほとんどの石灰沈着性腱炎は回旋筋腱板に存在するため、超音波検査でも十分に確認することができます。 また、石灰の状態(形成期・維持期・吸収期)によって治療方法が異なる場合がありますが、石灰の状態もMRIよりも超音波検査で確認することが可能です。 では、石灰沈着性腱炎の治療はどのように行うのでしょうか? 石灰が微細でサイズが小さい場合は、炎症注射で痛みをコントロールし、体外衝撃波治療を行うことで改善が期待できます。 ここで一つの盲点となるのは、X線上で微細な石灰や小さな石灰が確認できない場合、石灰沈着性腱炎と診断されずに見過ごされてしまうケースです。そのような場合、石灰がさらに形成されることがあり、数ヶ月後に石灰が大きくなって痛みが強くなるケースも少なくありません。 石灰が大きい場合や痛みが強い場合、以前は手術による治療が多く行われていました。 関節鏡を用いた手術で、関節鏡で腱を切開して石灰を除去した後に縫合するという方法で行われます。腱を処置するため装具の装着が必要となり、安静期間とリハビリテーションが必要になります。 このような背景から10年前より様々な検討を重ね、非手術的に石灰を除去する方法を考案しました。 それが「石灰破砕吸引術」です。 まず映像でご覧ください
まず局所麻酔を行い、無痛状態で超音波を用いて石灰の位置を正確に確認した後、特殊な注射器と特殊なチップを使用して石灰を破砕します。その後、注射器を用いて石灰を吸引します。 10年前の初期の頃は、石灰がうまく破砕・吸引できず、様々な方法を模索した結果、現在は特殊な注射器と特殊なチップを自社開発・製作して処置に使用しています。 ケースをご紹介します。

石灰の状態を確認するために超音波検査を実施しました。

実際の処置映像をご覧いただきます。
映像を見ると、注射器から歯磨き粉のように白く石灰が出てくるのが確認できます。 このようにうまく吸引できると、患者さんの症状は劇的に改善されます。

処置後のX線を見ると


このように大きな石灰沈着性腱炎であっても、石灰破砕吸引術を行うと、石灰はほぼ吸収され、痛みもほぼなくなります。残存した石灰は、処置後に体の自然治癒反応によって自然に吸収されることもあり、追加の体外衝撃波治療によって吸収を促進させることもできます。 石灰沈着性腱炎も早期に診断されれば、炎症注射や体外衝撃波治療だけで十分に改善することができます。 そのため、肩に痛みがある場合は、単純X線撮影だけで見過ごさずに、超音波検査でも回旋筋腱板疾患や微細な石灰沈着性腱炎を十分に診断することができますので、早期に正確な診断を受けることが重要です。 石灰沈着性腱炎が重症で石灰が大きい場合でも、石灰破砕吸引術で十分に治療することが可能です。 もちろん状態によっては2回目の処置が必要になることもありますが、ほとんどの場合、1回の処置で治療が完了するケースの方が多いです。
石灰沈着性腱炎の治療を検討されている方々にとって、 「石灰破砕吸引術」は 必ず大きなお力になれると確信しております。

