私たちの体の関節にはさまざまな種類があります。 肩、膝、脊椎、股関節など、臨床で主に扱われる関節は、可動域の大きい可動関節を 指すことが多いです。 その中で股関節は比較的安定した構造を持ち、問題が起こりにくい関節の一つですが、 スポーツ選手のように動きが多い場合や、交通事故・転倒などの大きな事故によって問題が生じた場合には、 それだけ治療が難しくなることもある関節です。 石灰化腱炎はほとんどの場合、肩に多く発生し、多くの方もそのようにご存じです。 しかし、石灰化腱炎は肩にのみ発生する疾患ではありません。腱が通るすべての関節に 石灰が沈着する可能性があります。 股関節、肘、手首、足首など、人体のあらゆる関節で発生することがあります。
腱に石灰性物質が沈着して硬く固まり、その固まった石灰が再び溶け出すことで 各関節に疼痛を引き起こす石灰化腱炎は、腱の微細な損傷によって発生します。 股関節に石灰が生じると、正常に歩くことが困難なほどの激しい疼痛を伴うため、 下肢や脊椎椎間板ヘルニアなど他の疾患と誤解されることがあり、 症状が発症したら速やかに正確な診断と治療が必要となります。 また、股関節石灰化腱炎の症状は、臀部や骨盤、ひどい場合は大腿部にまで疼痛が持続し、 夜間に激しい疼痛が生じることがあり、あぐら・下肢の外転・外旋を組み合わせた姿勢がとれないことが特徴です。 このように仙骨や骨盤付近に疼痛を感じる場合は、股関節石灰化腱炎を疑うことができます。 股関節石灰化腱炎は肩の石灰化腱炎と同様に、 石灰化腱炎の経過期間は通常、数か月から数年にわたる硬化期(石灰化期)、 そして数十日をかけて石灰が溶解する時期に分けられます。 形成期、維持期、吸収期を経て、自然に石灰が消失することもあります。 しかし、自然治癒までに数年かかることもあり、硬化していた石灰が溶解し始めると 激しい股関節疼痛を引き起こすため、治療が必要です。 肩の石灰化腱炎と同様に、石灰が形成される形成期には強い疼痛を引き起こすことは少ないですが、 すでに形成された石灰が溶け出す溶解期に主に症状が現れ、 まったく溶けずにいた石灰が後になって激しい疼痛を引き起こすこともあります。 この際、石灰が溶ける時に化学物質を放出することで激烈な疼痛を瞬間的に引き起こすため、 「化学的膿瘍」とも呼ばれています。
股関節石灰化腱炎の診断には、簡便にX線撮影で石灰化した部位を観察することができます。 X線で股関節を撮影すると、石灰化した部分が白く映ります。 初期の石灰化腱炎の治療は、疼痛と炎症をコントロールするために薬物療法と 体外衝撃波療法を行い、股関節周囲の腱に血流を促して血液循環を改善するよう治療します。 股関節石灰化腱炎は治療も重要ですが、日常的なセルフケアも重要なほど、 普段の運動強度の調整と休息が大切です。 運動量が増えるほど股関節の疼痛が強くなる場合は、約2週間できる限り安静を保ちながら 病院での治療に専念することが望ましいです。 もし病院での治療後も改善が見られない場合は、 追加の検査として超音波やMRIで病変部位を正確に診断し、 追加の病変の有無を確認することが重要です。 理論的には、サッカーやランニングなど運動量の多い運動は、股関節石灰化腱炎には適した運動ではありません。 そのため、十分な治療を受けて日常生活での疼痛がほぼ消失したと感じられる時に、 医師と相談のうえ運動を再開することが安全です。

