
気温が急激に下がる冬には、すべての年齢層が筋骨格系の健康に注意する必要があります。 冬季には関節や筋肉の収縮が起こり、緊張度が高まるためです。 また、こうした理由から冬季には肩の痛みが生じやすくなります。 冬季の肩の痛みを引き起こす疾患の一つに、肩関節周囲炎(五十肩)があります。 五十肩の正確な医学的名称は、凍結肩または癒着性関節包炎です。 特別な原因がなくても、40〜50代前後に肩の痛みとともに 肩の可動域が制限されることが特徴です。 五十肩は最初、単純な筋肉痛程度の肩の痛みから始まり、 症状が悪化するにつれて激しい肩の痛みを引き起こします。 肩関節を取り囲む関節包の退行性変化により炎症が生じ、 病態が進行するにつれて慢性的な肩の痛みとともに関節の拘縮症状も現れるようになります。

五十肩の症状が重い場合には、着替えや洗髪などの 日常生活にも大きな支障をきたすようになります。 特に糖尿病や甲状腺疾患がある場合は、 冬季に肩の痛みが発生する頻度が高く、治療期間も長くなるため、 糖尿病や甲状腺疾患をお持ちの方は、冬季に肩の痛みが生じないよう 日頃から肩のケアをより一層しっかり行う必要があります。 五十肩治療の基本は、拘縮した肩の可動域を確保するために 肩の炎症を取り除き、運動によって可動域を確保することです。 五十肩の治療には、まず非手術的なアプローチを優先的に用います。 一般的によく知られている物理療法、薬物療法、注射療法、徒手療法、衝撃波療法などが 非手術的アプローチによる五十肩治療の方法です。

冬季の肩の痛みである五十肩がある程度進行した後では、一般的な薬物療法と物理療法だけでは 五十肩治療の効果を十分に得ることができなくなります。 非手術的な五十肩治療を行っても改善が見られない場合や、肩の痛みが強すぎて 運動ができない状況であれば、五十肩注射である「関節液膨張術(ハイドロダイレーション)」を検討することができます。 関節液膨張術は、癒着した肩関節包の炎症を直接軽減できる注射療法の名称です。 超音波ガイド下に癒着した関節包に複数の薬剤を直接注入することで 拘縮した肩関節包を拡張させることができます。 すべての五十肩注射は、超音波ガイド下で正確に関節包に直接薬剤を投与することで 満足のいる結果を得ることができます。 関節液膨張術を行った後、1〜2日間は肩に鈍い痛みを感じることがありますが、 その後、肩の痛みが消失し、可動域も改善されます。 ただし、関節液膨張術を受けた後に肩の痛みが消失したからといって、 五十肩の治療が完全に終わったとは考えることができません。 肩の痛みがある程度コントロールできるようになったら、肩関節に強い痛みを引き起こさない 範囲内での自動関節運動や徒手療法によるストレッチ運動が必ず必要です。 冬季に肩の痛みを引き起こす五十肩が発症すると、 再発も多く治療期間が長くなりやすいため、 普段と異なる肩の不快感がある場合は、必ず適切な診断と治療を受けることが必要です。



