肩を回旋させ、持ち上げる機能を担っているのが回旋筋腱板です。 回旋筋腱板は、肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋で構成されています。 肩の回旋筋腱板断裂とは、上記4つの腱のうち1つでも加齢や外傷によって断裂し、 肩の疼痛とともに関節可動域制限を引き起こす疾患を指します。 30〜40代以降から腱に退行性変化が始まり、 腱が脆弱化してある日突然断裂してしまいますが、一度断裂した腱は自然治癒しません。 放置した場合、断裂部位が拡大し、完全断裂や変形性関節症にまで進展する可能性があるため、 できる限り疼痛が生じた時点ですぐに医療機関を受診し、治療を開始することをお勧めします。
肩の回旋筋腱板断裂の中でも完全断裂に該当する場合はやむを得ず手術的治療が必要となりますが、 部分的な肩の回旋筋腱板断裂であれば、外科的手術以外にも保存的(非手術的)治療によって 断裂部分を十分に再生させることが可能です。 部分的な回旋筋腱板断裂の場合は、疼痛コントロールとともに関節可動域の確保を治療の重点に置き、 肩周囲の筋力を強化できるよう回旋筋腱板断裂の治療を行います。 プロロセラピー(増殖療法)などの靱帯強化注射によっても靱帯の再生を促すことができます。 長期間にわたり保存的治療を行った場合や、プロロセラピー以外の より積極的な回旋筋腱板断裂治療を希望される場合には、 骨髄刺激再生術という非手術的治療を行うこともできます。
骨髄刺激再生術とは、 肩の回旋筋腱板に部分断裂がある場合に、超音波ガイド下で損傷した腱を確認し、 肩の骨に特殊な針を用いて複数の小さな孔を作ることで 骨髄が滲出するよう誘導する回旋筋腱板断裂の治療法です。 複数の小さな孔から大量の骨髄が流出し、その際に成長因子細胞や再生細胞なども 放出されるため、損傷組織の治癒を促進するのに役立ちます。 煩雑な自家骨髄採取が不要で、短い処置時間と早期の日常生活復帰が利点であることから、 多くの回旋筋腱板断裂患者様に骨髄刺激再生術が支持されています。
回旋筋腱板断裂があるからといって、最初から手術を行うわけではありません。 まずは手術を検討する前に、保存的(非手術的)治療を先に行うことが望ましいです。 ただし、回旋筋腱板断裂のサイズが3cm以上の大断裂である場合や、 保存的治療を6ヶ月〜12ヶ月以上継続しても疼痛が 持続する場合には、外科的手術が必要となることがあります。 肩の回旋筋腱板断裂の手術が必要かどうかと悩む前に、骨髄刺激再生術を通じて ご自身の身体の組織を最大限に温存しながら、肩の治療を行われることをお勧めします。

